残業を減らそうとしたら、営業の受注基準が問題だった
残業は工場で起きていた。しかし残業を生んでいたのは、営業が案件を断れないことだった。工数の話をしている限り、この問題は解けない。
表面に見えた問題
- 残業
- 営業
- 生産
構造的な原因
- 判断基準
- 部門間連携
- 顧客要求
- 経営判断
改革手段
- 業務削減
- 現場対話
- 一次情報収集
- KPI設計
01
最初に見えていた問題
「製造の残業が減らない」という相談だった。月次で残業時間の推移が共有され、削減目標も置かれていた。担当役員は増員か自動化かで悩んでいた。
つまり、問題は工場にあると全員が思っていた。
02
現場で聞いたこと
製造の班長に聞くと、返ってきたのは工数の話ではなかった。「急に入る特急品が多い」「図面が確定しないまま着手する」「仕様が途中で変わる」。
同じ質問を営業に向けると、別の景色が出てきた。「断ると次の指名がなくなる」「納期を約束しないと競合に取られる」「無理なのは分かっている」。
経営会議で共有されていたのは、このどちらでもなく、残業時間の数字だけだった。
03
違和感
残業を「製造の問題」として扱う限り、打ち手は増員・自動化・時間管理の3つしか出てこない。
だが現場が語っていた原因は、いずれも製造の外側にあった。誰も嘘をついていない。ただ、それぞれが自分の持ち場の言葉でしか話していなかった。
04
掘り下げた問い
確かめに行ったのは1点だけだった。「この案件を受けるかどうかを、誰が、何を基準に決めているのか」。
答えは、基準が無い、だった。営業担当が個別に判断していた。判断が正しかったかを後から検証する仕組みも無かった。
05
見えてきた構造
受注時に無理が生まれ、その無理が製造に流れ、残業として現れていた。残業は結果であって原因ではない。
さらに深い層があった。無理な受注を断ると、営業個人が責められる。一方で、それによって発生した残業は製造の数字になる。つまり、断らないほうが個人にとって合理的だった。
個人の問題ではない。そうなるように設計されていた、というだけのこと。
06
実際に変えたこと
受注可否の判断基準を明文化し、判断を営業個人から外した。基準に収まらない案件は、決裁のテーブルに上げる形にした。
同時に、残業時間を製造だけの指標から外した。無理な受注が発生したときに、それが誰の数字にも現れないという状態をやめた。
[要確認:削減幅・期間などの数値は、守秘の整理が済むまで記載しない]
07
変えなかったこと
特急対応そのものは残した。短納期に応える力は、この会社が長年かけて積み上げた強みで、顧客がここを評価して発注している。
変えたのは「誰が、いつ、何を基準に約束するか」であって、応える力ではない。ここを間違えると、改革が競争力を削る。
08
今回の学び
症状が出ている場所と、原因がある場所は、たいてい別の部署にある。
そして、原因のある部署では「それは自分たちの問題ではない」と本気で思っている。どちらの言い分も正しいまま、問題だけが残る。