会議を減らそうとしたら、権限設計が曖昧だった
会議が多い会社は、会議が好きなのではない。誰が決めていいのか分からないから、集まって確認するしかない。
表面に見えた問題
- 会議
- 承認
- 報告
構造的な原因
- 権限
- 役割
- 心理的安全性
- 過去の経緯
改革手段
- 会議設計
- 権限移譲
- 組織設計
01
最初に見えていた問題
「会議が多すぎる」。管理職が週の半分を会議に取られている、という相談だった。会議体の棚卸しをして統廃合したい、という依頼の形をしていた。
02
現場で聞いたこと
会議体の一覧を作り、それぞれ何を決める場かを聞いた。ほとんどの会議で、答えは「共有」だった。
では決定はどこでされるのか。「一応この場で確認して、あとで部長に上げる」。その部長に聞くと、「役員に確認する」。
参加者を減らせないか聞くと、「後から知らなかったと言われるので呼んでいる」と返ってきた。
03
違和感
会議が非効率なのではなかった。会議は、決められない状態に対する合理的な対処だった。
決裁のラインが不明確なとき、人は「関係者全員が同席していた」という事実を担保にする。会議はリスク回避の道具になっていた。
この状態で会議だけ減らすと、決定がさらに遅くなる。
04
掘り下げた問い
「この件は、いくらまでなら誰が決めていいのか」を各階層に聞いて回った。
同じ案件について、階層ごとに答えが違った。規程には金額基準が書かれていたが、実際の運用は規程より2段階上に上がっていた。
なぜかと聞くと、過去に決裁で問題になった案件の話が出てきた。[要確認:時期・案件の詳細]
05
見えてきた構造
一度の失敗のあとに、実質的な権限が上へ引き上げられていた。規程は変わっていない。運用だけが変わり、それが文書化されないまま定着していた。
その結果、現場は「規程上は自分の権限だが、実際に決めると怒られるかもしれない」という状態に置かれた。
会議は、その不安を吸収するために増えていた。
06
実際に変えたこと
会議体には先に手を付けなかった。まず、実際の運用に合わせて決裁権限を書き直し、「ここまでは自分で決めてよい」を文書で確定させた。
そのうえで、決定の場と共有の場を分けた。共有は会議をやめて記録に置き換えた。
会議が減ったのは、権限を明確にした後だった。順番を逆にしていたら、何も減らなかったと思う。
07
変えなかったこと
部門をまたぐ調整の会議は残した。ここは記録では代替できない。利害が違う相手と同じ場に座ること自体に機能がある。
「全部オンラインの非同期に」という提案は、この会社では機能しない。
08
今回の学び
会議の数は、権限の曖昧さの写し鏡になる。
会議を減らす依頼が来たとき、最初に見るべきは会議体の一覧ではなく、決裁の実運用のほう。