AI化を検討したら、業務そのものをやめた方が早かった
AI化の対象として挙がってきた業務を10件並べた。そのうち何件かは、誰も使っていない成果物を作る仕事だった。
表面に見えた問題
- AI
- システム
- 報告
- 属人化
構造的な原因
- 過去の経緯
- 目標
- 情報分断
改革手段
- 業務削減
- AI化
- 標準化
- 一次情報収集
01
最初に見えていた問題
「AIで効率化できる業務を洗い出したい」という相談だった。すでにベンダーからの提案書が何通か届いていて、どれを選ぶかの判断に迷っている状態だった。
02
現場で聞いたこと
候補として挙がっていた業務を、担当者に一つずつ聞いていった。何のためにやっているか、成果物は誰が使うのか。
いくつかの業務で、答えが出てこなかった。「昔から作っている」「前任者から引き継いだ」。提出先を辿ると、受け取っている側も「特に見ていない」と言った。
月次で作られていた集計表のうち、実際に意思決定に使われていたのは一部だった。[要確認:件数]
03
違和感
AI化の検討は「どう速くするか」から始まるため、業務が必要であることを前提にしている。
だが、この場で必要だったのは「そもそも要るのか」という問いだった。
不要な仕事をAI化しても、不要な仕事が速くなるだけになる。
04
掘り下げた問い
候補の全業務に同じ質問をした。「これを来月から止めたら、誰が困るか」。
困る人を特定できない業務が残った。逆に、困る人がはっきりしている業務は、なぜ必要かも明確に説明された。
この一問で、AI化の検討対象は大きく絞られた。
05
見えてきた構造
止められない業務には共通点があった。開始した理由が組織の記憶から消えていること。
理由が分からない業務は、止める判断ができない。止めて問題が起きたときに、誰が責任を取るかが決まらない。だから残る。そして毎年少しずつ積み上がる。
人手不足だと言われていたが、正確には、仕事を減らせないことが問題だった。
06
実際に変えたこと
先に、止める業務を決めた。止める判断は担当者ではなく、経営のテーブルで行った。担当者に「やめていいですか」と聞く形にすると、絶対に止まらない。
残った業務のうち、人が判断を担うものは手順を明文化した。判断が要らないものだけを、AI化・システム化の候補として残した。
結果として、当初の候補のうちツール開発が必要だったのは一部だけだった。ベンダー提案の規模は、検討前の想定より小さくなった。
07
変えなかったこと
非効率に見えるが、品質の最後の砦になっている確認作業は残した。ここを自動化の対象にすると、事故が起きたときに誰も気づけなくなる。
「二重チェックだから無駄」と切り捨てないほうがいい。二重になった経緯を先に聞く。
08
今回の学び
AI化の検討は、業務の棚卸しの後にしか意味を持たない。
順番を守るだけで、開発費も保守費も小さくなる。AIを最後にするのは、思想の話であると同時に、単純に安く済むからでもある。